03 (香川県歯科医学会)下顎コーヌスブリッジ前装をエンプレス(圧入セラミック)にて行った症例
1)下顎コーヌスブリッジ前装をエンプレス(圧入セラミック)にて行った 症例
2)エンプレスをコーヌスクローネに応用する過程①
エンプレスをコーヌスクローネに応用する過程
固定制のブリッジへの導入1996年夏
エンプレスをコーヌスクローネに導入するに先立ち、セラモメタルブリッジのコウゴウ面にエンプレスを貼付け、コウゴウ圧などによる破損の心配がないか経過を観察してみたが、数ヶ月の観察の結果では、なんら問題がないことが、実証できた。
金合金のサンプルブリッジを作成しその上に硬質レジンを前装せずエンプレスシェルを貼り付けてみたところ、金属色の影響を強く受け、非常にダークな色となり色調の面でこのまま臨床に応用することは不可能であることがわかった、またこの時の金属の上に直接貼ったエンプレスシェルを除去する際、接着処理を施していても、金属部分のたわみで簡単にクラックが入ってしまった。
そこで、金属表面に金属接着処理を行い硬質レジンのオペークを施してから、再度エンプレスのシェルを貼り付けたところ、臨床で応用可能ではないかと思われる程度の審美性と強度を達成した。
3)エンプレスをコーヌスクローネに応用する過程②
これまでの、硬質レジン前装コーヌスクローネの前装部の破折部分のほとんどが、金属の非常に薄いマージン部と側方運動時のエナメル部分表層であり、コーヌス力の強く設定した部分においても、外冠からの完全な剥離はなかった。
以上のことから、適切なコーヌス力の設定と、マージン部に若干のメタルカラー、審美性と外冠のたわみの吸収材として適切な硬質レジンの厚みを確保することで、エンプレスをコーヌスクローネ冠の前装材とすることが可能であると判断した。
4)エンプレスを前装材として使用する利点
エンプレスを前装材として使用することによる利点
硬質レジンと違い、摩耗や変色による耐久性の向上。(下顎機能こう頭への応用が可能となり審美性の改善ができる)
エンプレスの硬さが、天然歯のエナメルしつの硬さと同じ程度なので対合歯や顎関節に優しい。(陶歯を使用した際の対合歯の摩耗、レジン歯を使用した際の摩耗などによるコウゴウ関係の変化の心配がない)
通常の焼付け陶材と違い、高温での焼成を必要としないので、変形の心配がない。(外冠の金属を陶材にあわせて選ぶ必要がなくなり、コーヌスクローネ冠として最適な処理が行える)
陶材の破損時にはパーツとしてエンプレスを貼りつけることで対処出来る。(臨床的な対応のしやすさ)。
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この患者さんの場合初診時、上下ともはずして全てやりかえることになったため、ブリッジの撤去前に模型上にて、初診時の形態、コウゴウを参考にして上下のTEKを作り、ブラッシング指導にあわせ徐々に修正を繰り返してゆきました。この過程で保存不可能な歯を抜歯し、最終的に使える歯を決定し、歯肉の引き締まってくるのを待ちました、このスライドは、最終的に形態コウゴウの完成したものです。
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TEKを参考にして、通常の工程で完成した上顎のコーヌスクローネ義歯です。
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下顎の形成の終了した所です、形成量のチエックには、先程のTEKの厚さを計りました。
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コナトアを用い下顎内冠の軸面ミリングを終わったところです。コーヌスクロネの装着方向に対して前歯、臼歯の軸面を左右前後で、パラレル面を作るようにして、各歯牙をシャンファーつきで全周6度にてミリングしました。このスライドでは、TEKを使って下顎模型をこう合器に装着したところです。この後クリアランスを確認しながら内冠を最終的に完成させました。
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TEKを参考にしながら下顎のワックスアップしたところです。
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前装スペースの窓あけを行ったところです、この時今回は内冠を先行してSETするのでこう合関係を以後の操作である程度まで戻せるよう臼歯の機能こう頭部分を板状に残しておきました。
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コーヌス内外冠の内冠を口腔ないへSETする直前の工程です。この時内外冠のコーヌス力の調整を1歯あたり200g程度になるように終わらせておきました。
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内冠をスーパーボンドにて口腔内へSET後、外冠部のロー着用連結固定をしている所です、実際には、この工程は2ブロックづつ2回に分けて行いました。
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ロー着終了後、先程の工程で残した臼歯部の機能こう頭を利用して、こう合器上で模型を改造している所です。
この後、正確なこう合位を求めるために臼歯部機能こう頭部の板状の金属部分を削り取り、ゴシックアーチの準備を行いました。
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上のスライドは、上顎に設置したゴシックアーチ描記板、右スライドは下顎ゴシックアーチ描記針です。
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ゴシックアーチにて採得された中心位にてこう合器にリマウントした所です。
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金属部のクリアランスの最終チェック後、金属の表面を硬質レジンのマニュアルに従い表面処理後オペーク、デンチン、エナメルと通法に従い硬質レジンによる前装の終了した所です。
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上のスライドは、最終的なコウゴウのチエックを口腔内で行いコウゴウ調整後、もう一度リマウント用のバイトをとっている所です、この後ピックアップ印象を行い外冠内面にレジン歯根を立て最終の作業模型を作成後、このバイトを使ってこう合器に再装着します。
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上のスライドは、クリアランスを確認しながらエンプレス前装部の厚みを削り取った状態です。
この時点でセメント合着用のスペーサー層を作っておきました。
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エンプレスWAXにて最終形態を回復した状態です。
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上のスライドは、ワックスアップしたシェルをエンプレスの専用円錐台にスプルーイングした全体写真です。
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上のスライドはその臼歯部分の拡大写真です。
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上のスライドは、エンプレスのステイン法のプログラムに従いインゴットの圧入を終了した所です、今回のケースではT1インゴットを使用しました。
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上のスライドは、埋没材から掘り出した状態です。
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上のスライドは、圧入後の前歯部です。
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上のスライドは、圧入後の臼歯部です。マージン部まで、シャープに圧入されています。
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上のスライドは、外冠部のスペーサーを取り除きエンプレスシェルの適合調整後、外冠部の硬質レジン上で色調を確認しながらステインを施しポーセレンファーネスにて焼成している所です。
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上のスライドは、最終のグレーズ焼成の終了した所です。
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上のスライドは、エンプレスシェルを硬質レジン前装された外冠部分を貼りつける直前のコウゴウ面側から見た全体像です。
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スライドは、右側臼歯部分の拡大写真です。
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上のスライドは、前歯部拡大写真です。
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上のスライドは、左側臼歯部の拡大写真です。
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上のスライドは、最終の色調確認をエンプレストライアルセメンとにて確認後、使用する接着レジンセメントの決定し硬質レジンの表面処理を行い、エンプレス側はシランカップリング処理を施し、接着レジンセメントにて接着したコウゴウ面観です。
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上のスライドは、その正面間です。写真でもわかるように、接着処理は、コウゴウ器上にて出来るだけ接着に伴う浮き上がりの無いように行い、ラボサイドによるコウゴウ調整を終了させました。
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上のスライドは、ごうごう調整後の右側面観です。
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上のスライドは、同左側面観です。
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上のスライドは、完成したエンプレス前装コーヌスブリッジコウゴウ面観です。
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上のスライドは、同粘膜面観です。
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上のスライドは、患者さんのコーヌス外冠部を外した正面口腔内観です。
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上のスライドは、上下コーヌスを入れた正面口腔内観です
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上のスライドは、上顎コーヌスを外したコウゴウ面側から見た口腔内観です。
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上のスライドは、上顎のコーヌス義歯を入れたコウゴウ面側から見た口腔内観です。
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上のスライドは、下顎コーヌスブリッジを外したコウゴウ面側から見た口腔内観です。
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上のスライドは、下顎コーヌスブリッジを入れたコウゴウ面側から見た口腔内観です。
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上のスライドは、コーヌスを外した右側方からの口腔内観です。
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上のスライドは、コーヌスを入れた右側方からの口腔内観です。両方ともミラーを使用した写真です。
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上のスライドは、コーヌスを外した左側方からの口腔内観です。
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上のスライドは、コーヌスを入れた左側方からの口腔内観です。両方ともミラーを使用した写真です。
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現在この患者さんは、装着後1月目の検診では、ホテツ物にもなんらトラブル無く、ブラッシングも治療期間中と変らず、行えており非常に満足されているとのことです。
今回のケースもそうですが、患者さんの歯科治療に対する要求は、日々増大してきており完成後の審美性はもとより、治療期間中の審美性、発音、コウゴウの機能、材質の安全性、予後のメンテナンスの容易さなど患者さんに満足していただくには患者さんが何を求めているのか、なにをどのタイミングで、提供する必要があるのか、考えさせられるケースが非常に増えてきました。しかしながらそれをきちんと説明し、かなえるように努力すれば患者さんは非常に満足していただけるようです。
今回は、エンプレスを前装材に使って下顎コーヌスの審美性と耐久性の改善をみたわけですが、今後とも改良改善を繰り返して患者さんの満足を得られるよう努力してゆきたいと思います。
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